債権回収会社(サービサー)とは、金融機関から委託を受ける、もしくは譲り受けて、特定金融債権の管理回収を業として行うことを法務大臣の許可を得た債権管理回収専門業者です。
弁護士法により、弁護士または弁護士法人以外のものがこの業務を行うことは禁じられていましたが、平成10年10月16日に公布され、平成11年2月1日に施行された「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」により、弁護士法の特例として民間会社の設立が出来るようになりました。
債権回収会社として認められる要件としては、以下の3点が必須条件となります。
債権回収会社(サービサー)は、不良債権の迅速な処理を目的として設立された会社であるため、特定金銭債権の債権管理回収が基本業務となります。
特定金銭債権とは、主に金融機関等の貸付債権を指し、売掛金や請負代金債権等は含まれません。
また、貸付債権においては貸金業者でない個人が貸し付けた貸金債権も含まれないという特徴があります。
この特定金銭債権以外の債権を扱った事実を法務省などに知られた場合、サービサーは法令違反により、業務改善命令が出されるケースもあります。
債権回収会社(サービサー)によっては、非特定金銭債権に関しては、回収を伴わない督促状の発送業務等の代行のみを行っている業者もあります。
民事上の時効制度には、取得時効と消滅時効があります。
消滅時効とは、権利を一定期間行使しない場合は、権利を行使することができなくなることを言います。
つまり、債権者が債務者に対して借金返済を求めても、一定期間が経過していれば時効成立要件を満たしていることになります。
この消滅時効の効力を発生させるには、単に一定期間が過ぎたというだけはなく、消滅時効の援用をする必要があります。
消滅時効を成立させるための一定期間とは、貸金業者(消費者金融、クレジット会社、信販会社)からの借金である商事債権(商法522条)の場合は5年、個人間の借金の場合は10年間(民法第167条)となっています。
消滅時効の援用とは、債権者に対して消滅時効が成立したので、時効の利益を受けることを主張することを言います。
消滅時効の主張は、配達証明付きの内容証明郵便で郵送するのが一般的です。
内容証明郵便とは、「いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたか」ということを、差出人が作成した謄本によって日本郵便株式会社が証明する制度です。
内容証明郵便を配達証明付きで発送することで、郵便物を発送した事実から、その内容、さらには相手に配達された事実まで証明をしてもらえます。そのため、後々訴訟となった場合に有力な証拠となります。
時効は、次に掲げる事由によって中断します。
時効が中断すると、それまでの時効期間はリセットされ、新たに時効期間は10年に延長されることになります。
そのため、時効が中断した日から、さらに10年が経過しないと消滅時効は完成しません。
時効の中断事由(民法第147条)
請求とは、裁判上の請求(民法149条)を指します。
裁判上の請求は、訴訟の取り下げがあった場合には、時効中断の効力がなくなります。
また、裁判で判決を取られた記憶がないという場合でも、知らない間に判決が取られていることもあります。
これは、公示送達という意思表示を相手方に到達させたいけれど、住居所不明などの理由により書類の送達ができない場合に、裁判所の掲示板に一定期間掲示することで送達の効果を生じさせるための手続きです。
債権者が債務者の財産に対して、差押え・仮差押え又は仮処分を行った場合には、時効が中断することになります。
差押えは「請求」後の時効を中断でき、仮差押えと仮処分は「請求」前(提訴前)の時効を中断することが出来ます。
時効の中断事由で最も一般的なものがこの債務の承認です。
時効成立までに必要な期間である5年間で、一度でも借金の存在を認めた場合は、時効が中断することになります。
たとえば、借金の一部を返済したり、支払約束書にサインをしたり、支払い猶予を申し入れたりするなど借金を認めてしまうと、今まで進行していた時効が中断してしまいます。
ただし以下の場合には、時効の中断の効力は生じません。
催告(民法153条)とは、裁判外で請求(一般的には内容証明郵便による請求)をすることを指します。
催告は時効を中断させる方法の一つですが、時効の中断とは異なり、完全な時効中断の効果が生じるわけではありません。
この催告はあくまで仮の中断事由であるため、時効の完成を6ヶ月遅らせる効果しかありません。
しかし、催告後6ヶ月以内に時効中断事由のいずれかの措置をとれば、時効中断の効果が発生することになります。
つまり、催告は時効が完成することを6ヶ月先延ばしさせるための、一時的な中断措置であると考えることが出来ます。